2017年3月8日

VUCAの時代を生きる:辻野晃一郎コラム[2017年3月8日配信バックナンバー]

VUCAの時代を生きる

最近、「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」の頭文字をとった「VUCA(ブーカ)」という造語をよく見掛けますが、世界は同時多発的な大変化に見舞われています。インターネット、IoT(モノのインターネット)、人工知能、人口爆発、超高齢化、紛争の激化、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)、トランプ米大統領の誕生など、技術、政治、経済、自然環境、安全保障といったあらゆる面で、従来の常識や概念が通用しない先の読めない混沌とした時代を迎えています。

日本企業に目を転じると、シャープは台湾企業の傘下に入り、名門企業の代表格であった東芝はあっという間に倒産寸前ともいえる状態です。長く続いたデフレとグローバル競争の激化で広がった構造不況の根は深く、大企業に勤めていれば一生安泰という時代はとうに終焉しました。ただまじめに一生懸命働いているだけでは、必ずしも報いられる世の中とは言えず、企業などに長く勤めていても、以前のように徐々に給与が上がっていくということも今後はあまり期待できません。それどころか、黙々とまじめに頑張ったつもりでも、気が付いたら会社が倒産したり、不正の片棒を担がされたり、さらには追い詰められてうつ病になったり、リストラされたり、自ら命を絶つようになったりと、ただまじめに働くだけでは人生を台無しにするようなことにもなりかねません。従順な受け身体質や依存体質は危険なのです。

このような時代、われわれは、生活防衛のためにも、いざとなれば政府や会社などに頼らず、いつも自己責任で賢く考えながら自分の人生を切り開くような生き方を強く意識することが大切なのではないでしょうか。働き方改革の機運が盛り上がっているところで、「働き方」は「生き方」と捉え、自分の人生プランや収入モデルなどを今一度見直して軌道修正したり、丸ごと置き換えたりする勇気や行動力も大切だと思います。

辻野晃一郎コラム

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