ポケモンGOの開発を行った米ナイアンティックは、2010年にグーグルの社内ベンチャーとしてスタートし、2015年に独立したベンチャー企業です。スマホのGPS機能とグーグルマップをベースに、「この世界には世界制覇を競う2つの勢力がある」という設定で、地図上の仮想の拠点を実際に訪ねながら、緑組と青組に分かれて奪い合う陣取りゲーム「イングレス」を開発しました。ポケモンGOの前身ともいえるもので、3年間に世界中で1400万以上ダウンロードされ、現在もユーザー数を増やし続けています。先日は東京お台場で1万人以上のプレイヤーを集めた盛大なイベントも開催されました。
グーグルアースやグーグルマップ、ストリートビューなどでは、コンピュータの前に座ったまま世界中どこにでも行けるバーチャル体験が可能になりました。一方、ナイアンティックは、”Adventures on foot(自分の足で冒険しよう)”が理念で、スマホを片手に自ら外に出掛けてリアルな世界を体感するアプリケーションにこだわっています。
イングレスに加え、ポケモンGOの登場で、人類は拡張現実(AR)が作り出す世界に新たな一歩を踏み出しました。家から出ることがなかった人達が、外に出て歩き、移動し、会話し、実際の世界を見る、ということはそれだけでも素晴らしいことです。歩きスマホやながらスマホで事故の加害者になったり被害者にならないよう、安全確保には十分に注意する必要がありますが、ナイアンティックがポケモンやユーザーと共に切り開く未来に期待したいものです。
辻野晃一郎コラム
このエントリーは2016年5月25日配信のALEXコーポレートメールマガジンのバックナンバーになります。メールマガジンの購読を希望の方はこちらのフォームからお願いいたします。