一流ビジネススクールの多くの卒業生が伸び悩む、ということが様々な調査で明らかにされているそうだ。その理由は、順風満帆にやってきた頭のよい人達は、往々にして失敗を知らず、そのため、失敗から学ぶということを学んでいないからだ、と言われている。
失敗から学ぶ代わりに、彼らは失敗の理由について根本的な間違いを犯す。つまり、物事がうまく行ったら自分が天才だからだと思い、うまく行かなかったら、誰かが間抜けだからだとか、リソースが得られなかったからだとか、または市場が変わったからだなどと言う。失敗の原因を周囲に求め、謙虚さや当事者意識が弱いのだ。
成長する人というのは、常に謙虚で、どんなことからでも学んだり吸収する力が強い。それは当事者意識、すなわち何事も「自分事」に帰結して考える能力が高いからだ。目に見えることや、聞こえること、人の話や体験を、「自分のこととして考える」ことが「学ぶ」ための基本姿勢であることを知っている。身の回りで起きていることに思いを馳せれば、実はこの世のすべての事象はつながっていて、他人事なんていうものはない、ということに気付く。インターネットの時代になって、ますますその思いを強くしている。
私が心から敬愛する友人から聞いた話であるが、スウェーデンの中学校の社会の教科書のタイトルには、「You own community」と書かれていて、教科書の冒頭に、「学校の任務は、生徒ひとりひとりが、みずからの将来を築くという困難な仕事に向き合う導きをすること」だと明記されているそうだ。何事も、自分事として考えることが出来なければ、学ぶことなどできない、ということなのだと思う。
他人事的で他責や他罰の態度を完全に捨て去り、目の前の課題や厳しい現実から逃げず、当事者、自分事としてそれらに正面から対峙し、果敢に挑んでいく勇気や態度や行動力さえあれば、その人の成長は保証され、おのずと結果も付いてくるものであると思う。
辻野晃一郎コラム
このエントリーは 2014年3月10日 配信の ALEXコーポレートメールマガジンのバックナンバーになります。メールマガジンの購読を希望の方はこちらのフォームからお願いいたします。