その候補者は、メディア等で「その他」扱いされる主力候補4名以外のいわゆる「泡沫候補」の一人である家入一真氏です。ご本人も当選するとはまったく思っていないでしょうし、インターネッ党などと、どこまで本気なのか冗談なのかもわかりません。立候補の目的も、そもそも政治に関心があるのかさえもわかりませんが、ネットを駆使し、ホリエモンの応援も得て、ニートの人達など、他の候補にはまったくないユニークな目線を代表した存在であるのは間違いないでしょう。
家入氏は、ご自分でもキャンプファイヤーというクラウドファンディングの事業を手掛けている起業家ですが、あえてシューティングスターという別のクラウドファンディングを使って選挙資金を集めています。こういう着想はやはり素晴らしいと思いますし日本の選挙の常識に一石を投じるアクションとして貴重です。
今回の選挙で彼が想定以上の支持を集めたりする現象が起きると面白いな、と心密かに応援しています。年齢的にも、いわゆる主力候補4名がすべて65歳以上のご高齢なのに対して、35歳と圧倒的に若い存在でもあります。
東京都にはいろんな人達が集まっているわけですから、「標準的な人達」が拾えない声や見えない課題をもっと主張して、新たな論点を提示してくれると選挙戦も少しは盛り上がるのに、と思いますが、あまりにも時間がなさ過ぎるのが残念です。それでも、家入氏はツイッターやフェイスブックで意見を集めて、それを120の政策提言にまとめたりもしていて( http://ieiri.net/policy/ )そのやり方も今風です。政治に若者の意見を反映する、という以前に、若者にまずは意見を出させる機会を作ったことも評価できると思います。
ちなみに、グーグル検索の累計件数は、2月9日の昼の時点で、「舛添要一」が662万件、「細川護煕」が236万件、「田母神俊雄」が165万件、そして「宇都宮健児」は269万件です。その中で「家入一真」も184万件と健闘しています。グーグルトレンドでの過去7日間の人気度は、やはり2月9日の昼の時点で、舛添氏、細川氏、家入氏、田母神氏、宇都宮氏の順になっています。
検索結果からも、舛添氏の当選は最初から明らかです。今回の都知事選は経緯からいっても盛り上がらない選挙の典型で、あえて拾った話題が上記の家入氏の立候補くらいですが、こんな選挙で今後4年の都政が決まってしまうのですから、世の中とは極めていい加減なものです。
辻野晃一郎コラム
このエントリーは 2014年2月9日 配信の ALEXコーポレートメールマガジンのバックナンバーになります。メールマガジンの購読を希望の方はこちらのフォームからお願いいたします。