報道によると、これにはグーグルのシュミット会長も怒りを露わにして、NSAのほかオバマ大統領、連邦議会の議員に苦情を申し立てたとされている。シュミット会長は、「NSAは危害を加える恐れのある約300人を特定するため、(米国民)3億2000万人全ての通話記録を収集した疑いがある。これは公共政策としてひどいというほかない。(中略)そして恐らく違法だろう」と話している。
また、グーグルのセキュリティシステムに関わるとされる社員も、自身のブログで、「Googleの世界各地のデータセンターをつなぐケーブルから通信を傍受するというNSAのやり方は、法を無視する行為である」、と非難している。
長く平和ボケの続くわが国では、セキュリティに関する感度も極端に鈍くなっており、今回も、NSAのターゲットに日本も含まれていた、という報道に対して、防衛大臣が「信じたくない」という発言をし、官房長官も「事柄の性質上、発言は控えたい。日米間ではしかるべく意思疎通を行っている」と述べるにとどまり、米国に厳重抗議する考えがない様子であるのには違和感を覚える。つまりは、日本国政府としては、我々日本国民の情報が米国の国家機関に筒抜けになっていても、何のアクションも取らない、ということに等しい。
一般庶民としては、今後、電話やインターネット上での自身のやり取りは、すべてどこかの国家機関あるいは第三者によって捕捉されており、電話やインターネットは決して安全な通信手段ではない、ということを強く自覚した上で、自己防衛の策を講じて行くことを考えていかねばならない。結局、自分自身の安全や財産を守るのは自分しかいない、という原点に立ち戻ることしか術はない。大変便利な世の中になったが、その代償もまた計り知れないのである。
辻野晃一郎コラム
このエントリーは 2013年11月10日 配信の ALEXコーポレートメールマガジンのバックナンバーになります。メールマガジンの購読を希望の方はこちらのフォームからお願いいたします。