2013年7月31日

妄想の力: 辻野晃一郎コラム[2013年05月10日配信バックナンバー]

「思考は現実化する」というナポレオン・ヒルの古い必読書があるが、画期的な発明や、人類を救うようなイノベーションや、新しい事業や、あるいは、テロや戦争など、世の中のありとあらゆる物や出来事はすべて誰かたった一人の妄想から始まる。

イーロン・マスクという南アフリカ出身の40歳そこそこの起業家がいるが、彼は大学生の時に、これからの人類に必要なものは何かをさまざまに妄想したそうだ。結論は「インターネット」「持続可能エネルギー」「惑星への移住」。その後、アメリカで起業した彼は、現在のペイパル、テスラモーターズ、スペースエックスを創業したり経営したりしている。すなわち、インターネット上にオンライン決済のインフラを作り上げ、電気自動車の会社を経営すると同時に、宇宙に初めて民間の商用ロケットを飛ばして成功させている。大学時代に抱いた妄想をすべて現実化させたりさせつつあるのだ。別の注目点は、このようなダイナミックなチャレンジが個人の起業家に巨額のリスクマネーが集まって現実化していく、というプロセスだ。決して公官庁や大企業が推進しているわけではない。

今は時代の大きな変わり目であり、チャンスに満ち溢れた時代と言える。日本の中からもスケールの大きな妄想を抱く若者が多く輩出され、育っていく土壌を作っていかねばならない。昔のソニーは「出る杭求む」というキャッチコピーを人材募集の広告に使った。弊社のクラウドファンディング「COUNTDOWN」もチャレンジ募集に敢えてそのソニーの文言を拝借し「出る杭、求む!」を掲げている。世の中の新陳代謝を率先垂範する才能ある人達との出会いをどんどん広げて行きたいと願っている。

辻野晃一郎コラム

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2013年7月29日

忙しい人と暇な人: 辻野晃一郎コラム [2013年04月25日配信バックナンバー]

昔、千葉敦子さんという素晴らしいジャーナリストがいた。乳癌の再発で若くして亡くなってしまったが、その壮絶な人生は彼女の多くの著書に生々しい。私が彼女の存在を知ったのは、「ちょっとおかしいぞ、日本人」(1985、新潮社)が最初だった。ちょうど、ソニーに入社した直後、会社派遣で米国の大学院に留学するプログラムがあり、それに挑戦して渡米の準備をしていた頃だったと思う。当時、彼女の視点に大いに共感を覚え、それ以来彼女のファンとなった。

どの著作だったかは覚えていないのだが、彼女の本の中に、さまざまな切り口で人を2つのグループに分けて論じたエッセイがあった。その中に、「忙しい人と忙しくない人」というのがあって、「忙しくない人は忙しい人にあれこれ人生相談をする、人生相談をされた忙しい人は、忙しい時間の中からその人の為に時間を割いて親身になってアドバイスをする、でも結局忙しくない人はその忙しい人の親身なアドバイスを聞いても、特に何も行動はしないのだ」というようなのがあった。

私のところにも、別に人生相談を本業としているわけでもないのに(笑)、メールやfacebookのメッセージを通じた見ず知らずの人を含め、さまざまな相談事が持ち込まれる。そうなると、どんなに多忙を極めていても出来る限り力になってあげたい、と思うのが人情だ。しかし、こちらもなけなしの時間を割いてお付き合いする以上、そこから何かをつかみ取って是非具体的な行動に移してほしいものだ、と心から祈らずにはいられない。

もう一つ、「持って生まれたエネルギーレベルの高い人と低い人」というのもあって、「人には何をやってもまったく疲れない人と、何をやってもすぐに疲れる人がいる、エネルギーのレベルの高さ低さは生まれつきのものであって、高いエネルギーレベルで生まれて来た人は、もうひたすら親に感謝すべきだ、、、」というようなのもあった。これも真実だ。特に起業をしてからはつくづくそう思う。起業の世界はまずは「胆力」と「忍耐力」と「体力」だ。それに加えて「知力」と「スピード」だろう。ちょっとやそっとで不安が先行してやる気を無くしたり、体調を壊して寝込んでしまうようならば、最初から起業の世界などには絶対に足を踏み入れない方がいい。モチベーションを保ち続けるエネルギーレベルの高さや、やるべきことを次々と直ちにやるスピードへの貪欲さなど、様々な面で人並み外れたすさまじいエネルギーの持ち主でないと務まらない。

その後、彼女の本を読み直す機会はないが、生前に彼女が残した多くの言葉や記録は、確実にどこか自分でも気が付かないところでの生きるヒントになっている。

辻野晃一郎コラム

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2013年7月26日

辻野晃一郎コラム [2013年04月10日配信バックナンバー]

心がへこんだ時に取り出して眺める古い本がある。その書き出しは、「人生とは困難なものである。」という一言だ。そして、続く。「これは偉大な真実、最も大きい真実の一つである。ひとたびこの真実を悟ればそれを超越できるという意味で、それは偉大な真実なのである。一旦この真実を理解して本当に受け入れるならば、人生はもはや困難なものではなくなる。」

Morgan Scott Peckという米国の精神科医が書いた「The Road Less Traveled」(邦訳:愛と心理療法、創元社)という本の出だしだ。この本との出会いは覚えていないが、この一言にいつも心が救われる。上記の一節に続くくだりをもう少し紹介する。

「大抵の人たちはこの心理を充分悟ってはいない。むしろ彼らは、たえず自分の問題、重荷や障害が大きすぎると、大仰にあるいはひっそりと嘆いている。まるで、人生は総じて楽なものだ、楽であるべきだというように、である。自分が直面している困難は、どこにでもあるような不幸なことではない。どういうわけか、いわれもなく、よりにもよってこの自分に、あるいは自分の家族、部族、階級、国、民族、あるいは人類に課せられた不幸なのだ、と大声で、あるいは小声で言う。私はこのような嘆きがよくわかる。私も人並みに同じように嘆いてきたからである。」

彼が言うように、「人生とは楽なものである」、という前提に立つと、ちょっとしたことでイライラし、どんどんストレスが溜まっていく。「何故、よりによって自分ばかりがこうついていないんだ」、と世を呪うようにすらなる。しかし、「そもそも人生とは困難なものである」、という前提に立つと、ほんの小さなこと、ちょっとしたことが、大きな喜びや深い感謝の気持ちに繋がっていく。困難を嘆くのではなく、問題を解決するエネルギーが湧きあがってくる。

所詮、人生とは、身の回りに抱える課題や次々と起きる問題を解決するための訓練を積む場なのだと割り切れば、気持ちも少しは楽になるのだ。
辻野晃一郎コラム

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2013年7月24日

アートフェア東京訪問: 辻野晃一郎コラム[2013年03月25日配信バックナンバー]

先週、有楽町の東京国際フォーラムで開催されていたアートフェア東京に行ってきました。今年で8回目を迎えた「アートフェア東京」には、国内外からおよそ140のギャラリーが参加しているそうで、骨とう品から現代アートに至るまで、多彩な作品が展示・販売されていました。日本の首相経験者で、その後陶芸家・茶人として活動している細川護煕氏の作品も多数出展されていました。

例年、5万人を超える来場者があるそうですが、業界関係者がメインでまだまだ一般の認知度が低いということでした。主催者側のある方が、「この業界に20年以上いるが、ほとんど成長しておらず、いいものはみんな海外に行ってしまう」とおっしゃっていたのが印象的でした。一般公開前の招待日に伺いましたが、会場には海外からの方々の姿も目立ち、やはり日本にはいいものが沢山あることをよく知っていて、最近の円安の影響もあり買い付け目的の方も増えているのではないかと思いました。

中には、日本から出展された作品として、美術家やミュージシャンなど24人の若手アーティストで作るグループが、共同で暮らしながら作品作りをしていて、その活動を住宅ごと2億5000万円で売り出しているようなものもありました。奇抜ではありますし、賛否両論と思いますが、芸術の発展にとって若い才能を育成することが重要とすれば、こういうのも新しい形の「ファンディング」としてしてアリか、と思いました。

話は変わりますが、先日ニューヨークで知り合った佐々木芽生さんがオフィスに遊びに来てくれました。クラウドファンディングで資金を集めて作った映画「Herb & Dorothy」で話題になった方です。今月末から続編の「Herb & Dorothy 50x50」が公開されますが、こちらもモーションギャラリーなどのクラウドファンディングを活用して制作資金の一部を集めたものです。この作品は、New Yorkの郵便局員だったHerbと、図書館で働いていたDorothyという老夫婦が若い頃から現代アートの作品をこつこつと集め続け、生涯かけて数千点の作品をコレクションした、という話なのですが、余計なウンチクは一切なしに「好き」とか「美しい」という自分達の感性だけで無名の作家の作品を熱心に集め続ける姿が感動的でした。

アートの世界を特殊な世界とするのではなく、ごく普通の生活をする人々にとってももっとなじみのある世界に変えて行くこともこれからの課題なのだと感じます。

辻野晃一郎コラム

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2013年7月22日

台湾のクラウドファンディング事業者:辻野晃一郎コラム [2013年03月10日配信バックナンバー]

本日は、東日本大震災からちょうど2年目の節目の日にあたります。実に速いものです。今でもあの日の恐怖と衝撃はとても鮮明に全身に刻み込まれています。 あらためて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

先日、台北に出張した時に、現地でクラウドファンディングFlyingVを運営する昂圖股份有限公司(Ontoo Inc.)を訪問し、Founder の林弘全(Light Lin)氏、CEOの鄭光延(Tim Cheng)氏に会いました。

FlyingVは2012年4月にサービスを開始し、これまでにトータルで230程のプロジェクトを扱ってきたそうです。クラウドファンディングの仕組みとしては、COUNTDOWNと同じAll or Nothing方式による購入型で、最も成功した事例は目標金額の10倍近くを集めた、腕時計のプロジェクト腕時計のプロジェクトだそうです(3,546,200NT、日本円では約1,100万円)。台湾のクラウドファンディング市場もまだ小さいですが、その中でFlyingVのシェアが70%程度ということでした。

二人が、「クラウドファンディングで一番大事なのはチャレンジャーとサポーターのTrustだ」、と言っていたのが印象的でした。二人とも同年齢の32歳で、Lightは台湾ローカルのソーシャルサービスを作ってそれをYahoo! 台湾に売り、そのままYahoo! 台湾で4年ほど働いた後にFlyingVをTimと一緒に立ち上げたそうです。Timは台湾で生まれた後、6歳で米国に移り、LAの近くに大学卒業後までいたそうです。ほぼAmerican born Taiwaneseという感じでアメリカナイズされた人でした。IBMやMicrosoftで働いた後、Lightと出会ったそうです。会社は若者ばかり10名程でした。

台湾も政治的、経済的にさまざまな問題があり、若者に夢や希望がなく、PCや半導体で栄えた頃に比べると世の中の活気がなくなっていて、そのような状況を変えて若者がもっと希望を持ってチャレンジするような社会にしたい、という思いを繰り返し語っていました。”student club”と言ってましたが、台湾には学生団体が多くあり、そこに所属する学生達と頻繁に会い、プロジェクトをスタートするための相談を受けているそうです。実現性の低いものも多いそうですが、そういう若い人達にアドバイスをすることにもやりがいを感じているようでした。二人とも”game change”という言葉をしばしば使いながら、クラウドファンディングは世の中のgame changeをもたらす有望な仕組みだと力説していました。

台湾という異国の地でお互いに初対面でしたが、「クラウドファンディング」という共通言語で、すぐに話が通じるのはインターネット時代における醍醐味であるとあらためて実感すると共に、お互いに新しいことに挑戦する人達をサポートしていくことで意気投合して話も弾みました。

彼等のサイトのチャレンジもぜひご覧ください! http://flyingv.cc/


左:林弘全(Light Lin)、Founder、昂圖股份有限公司 (Ontoo Inc.)
右: 鄭光延(Tim Cheng)、CEO、昂圖股份有限公司 (Ontoo Inc.)

辻野晃一郎コラム

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2013年7月19日

決めて行動する国になるために:辻野晃一郎コラム [2013年02月25日配信バックナンバー]


私は別に右寄りとか国粋主義者とかいうことではありませんが、日本が真の独立国家として一人前の国になるためにはやはり日本人自らの手で憲法を書き換える必要があるのだろうと思っています。現行の日本国憲法は平和憲法などと呼ばれていますが、もともとは太平洋戦争後に占領軍によって草稿されたいわゆる「マッカーサー草案」がもととなっており、第九条の裏には、日本復活に対する脅威から、二度と軍事力を持って立ち上がれない国にしてしまおう、という当時の戦勝国の本音や思惑が透けて見えるものです。また、いずれにしても、この憲法は1947年に施行されてから既に65年余を経ていますが一度も改正されていません。上記の思惑から改正手続きが困難な規定となっているからです。

しかし、国の憲法とはコンピューターのOSのようなものです。時代はどんどん変わっていて、まさにコンピューターの世界もパーソナルコンピューターの時代からクラウドコンピューターの時代へと遷り、マイクロソフトのWindowsが全盛だった時代が終わって、よりクラウドに即したAndroidやChrome OSやiOSの時代に代わっています。そう考えれば、国のOSである憲法が時代に合わせて修正されていくべきものであることはむしろ当然です。同じ敗戦国のドイツは、憲法にあたるドイツ連邦共和国基本法を東西ドイツ統一以前に35回、統一後に22回も改正しています。また、米国も合衆国憲法を戦後6回改定しています。まさに憲法とは生きているものであって時代と共に改正されていくのが自然なのです。

現在の日本国憲法は、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」が三大要素といわれていてその精神は今後とも踏襲されるべき素晴らしいものであると思います。しかしながら、マッカーサーから「日本人の精神構造は12歳だ」と言われながら占領軍が主体的に起草したものから、日本人自らの手で時代に合わせて改定し、世界における日本国の責務を自己責任で再定義していくことはこれからの国家の主権と発展を考えると避けては通れないことです。

ちょうど一年前、東日本大震災から約一年たった2012年3月に被災地を訪れました。そこで私が見たものは、遅々として復興が進まず、瓦礫や廃車が積み重なり、倒壊した建物や押し流された船などがそのまま横たわる光景でした。震災は、まぎれもなく天災でありました。しかしながら、その復興が進まないことは人災です。復興が遅れているのは、これほどの非常事態においてすらスピードのあるデシジョンと行動が出来ない国になっているからです。政権が自民党に戻って被災地の復興が加速することを期待していますが、非常事態であっても大事なことを先送りして何も決められず、迅速な行動が取れなくなっているこの国のスタイルを根本から作り変えていくためには、やはりOSである憲法を自らの手で時代に合わせて見直していくことが原点になるのではないでしょうか。

辻野晃一郎コラム

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2013年7月16日

起業家スーパーカンファレンス2013:辻野晃一郎コラム [2013年02月10日配信バックナンバー]

三連休最終日の2月11日(月)に、品川で行われた起業家スーパーカンファレンス2013というイベントでの対談に呼ばれて行ってきました。ソニー時代にVAIO事業を立ち上げたとき以来の古いお付き合いのインテルジャパン初代社長の傳田信行氏との対談でしたが、他に、KLabの真田哲弥さんや、Optの鉢嶺登さん、リブセンスの村上太一さん、タリーズコーヒーの創業者で参議院議員の松田広太さんなど、多才な起業家の皆さんがお集まりでした。聴衆は就職を控えた学生さん達500名程でしたが、「日本の開業率を10%に引き上げる」というコンセプトに共鳴して参加しました。

このようなイベントに行くたびに思いますが、日本の若者は大人しくなったとか、草食系とか、いろいろと言われますが、休日を潰してこのようなイベントに集まってくる熱心な若者はたくさんいますし、就職よりも起業したいと思っている若者もたくさんいます。大切なことはこういう人達が本物の起業家として巣立って行くために、周囲の先輩達がどんなことでもサポートの労を惜しまない、ということだと思います。資金援助でも、ビジネスプランへのアドバイスでも、専門家の紹介でも、自分の経験談で参考になることでも、伝えるべきことを惜しみなく伝え、援助できることはどんなことでも手を差し伸べる、ということがとても大切だと思います。

何度も言いますが、昨年の世界銀行の調査では、起業のし易さ、という項目で日本は183か国中107位でした。この順位を上げて行くためには、資金提供のインフラ整備や規制緩和にとどまらず、チャレンジする人を応援する風土、チャレンジして失敗した人の再チャレンジを奨励する土壌を作って行くことが何より大切だと思います。自分自身も起業した事業を軌道に乗せるのに奔走する毎日ではありますが、若い人達を支援する活動には今後も出来る限り協力して行きたいと思っています。

それにしても久しぶりにお目に掛かった傳田さんは、長い間人工透析をしておられましたが、数年前に腎臓移植の手術をされ、その後、見違えるようにお元気になり、今年65歳を迎えられるということでしたが、すっかり若返られて、精力的に新しいことにもどんどん挑戦しているというお話しで大変に嬉しく思いました。

辻野晃一郎コラム

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2013年7月10日

New York訪問:辻野晃一郎コラム [2013年01月25日配信バックナンバー]

今週はNew Yorkに来ております。ソニー時代には毎月通うように来ていた時期もあったのですが、グーグル時代に来たのを最後に、今回のNew York訪問は4年ぶりくらいになります。ここに来るといつも感じるのはこの街から発せられている何ともいえない強力なエネルギーです。金融や小売りや芸術やエンターテインメントの世界的な拠点でもありますが、ここで一旗揚げてやろうという野心や向上心の強い人達が全米からそして世界中から集まってくるせいなのでしょうか。今週はInternational Gift Fairというイベントが開催されていて、会場も世界中から集まっている多くのサプライヤーやバイヤーの熱気に包まれておりこの街から世界中に発信される最新のトレンドを感じることが出来ます。

一方で、今回は、以前にも増して、都市インフラが劣化している気がしました。日本でも先日の中央高速でのトンネルの天井崩落事故をきっかけに、首都高などのインフラ劣化が議論となっていますが、市中をバスやタクシーで移動するときに交通の流れがまったく上手くいかなくなっていてちょっとした移動にも予想外の時間が掛かってしまう状態です。道路も傷んでいるところが非常に増えていて、いたるところで補修工事が行われています。昨年この街を襲ったハリケーンの被害の影響もまだ残っているようです。もちろん、地下鉄もありますし、マンハッタンの中は比較的狭いので徒歩で移動、という選択肢もありますが、寒い日や雨の日の移動はタクシーもつかまりにくくて本当に一苦労です。

そう考えると、東京の素晴らしさは本当に群を抜いています。駅の自動改札やどこにでもあるコンビニエンスストア、公衆トイレのウォシュレットに至るまで、便利で快適なことはこの上ないと思います。東京では当たり前のモノやサービスでも、世界の大都市New Yorkですらあり得ない様なモノやサービスであることにあらためて気付かされます。日本で皆が享受しているような生活の便利さや快適さを、世界にもっと発信、拡散していくことにはまだまだいくらでも余地があるのだということを改めて感じています。

辻野晃一郎コラム

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