2013年4月8日

ALEX as an Auditorium:辻野晃一郎コラム [2012年10月10日配信バックナンバー]

山中先生のノーベル賞受賞について心から賛辞をお送りしたいと思います。久々に目の前がパッと明るくなるような素晴らしいニュースでした。iPS細胞という世界人類を救う偉業の今後の実用段階での成果に大いに期待したいと思います。

さて、前回に続き、ご批判を承知で敢えて乱暴な言い方をしますが、私は、私も在籍していたソニーも含め、今の日本の多くの大企業の役割はある意味終わったと思っていて(立派に素晴らしい社会貢献を果たし終えた、という意味で)、20世紀の経済成長を先頭に立って牽引してきてくれた会社に、引き続き21世紀の成長戦略も期待するのは虫が良すぎるのではないかと思います。マスメディアの論調の中には、一部の大企業の成長神話復活を期待するものも多いですが、それは期待する側の勝手なノスタルジーでもあると思います。今の時代は、佐々木俊尚さん流に言えば、「グローバル・プラットフォームとノマドの時代」で、古い日本的大企業の居場所がなくなってきている時代とも言えます。これからは、日本人も、もっと個人個人のアジェンダで世界に向けてどんどん積極的に発信していくことが重要で、それを手伝ってくれるのがインターネットやクラウドがもたらしてくれている「グローバル・プラットフォーム」であると思っています。

弊社では、ALEXCIOUSという越境コマースのグローバル・プラットフォームを、日本の多くの才能ある個人が登壇して世界に向けて発信する「舞台、オーディトリアム」というコンセプトで開発しましたが、先日もお伝えした通り、それに加えてCOUNTDOWNというクラウドファンディングのグローバル・プラットフォームを先月新たに立ち上げました。これらを通じて、我々が真にやっていきたいことは、多くの日本のチャレンジャー達が生み出している数々の物語を世界に向けてどんどん伝えていくことです。これらの物語をALEXCIOUSCOUNTDOWNという舞台の上で登壇者の方々に自由に演じていただき、そのうちに世界中の人達が舞台の周りに集まってきて、自然といろんな共演(コラボレーション)もどんどん始まり深まって行く、というイメージです。

よく言われることですが、日本人は「モノ」作りはうまいけど「コト」作りが下手くそ、すなわち、ストーリー作りがあまり上手ではありません。昔、ソニーが日本発の企業としてあの時代に一代で世界企業になったのは、story teller、life style creatorだったからです。Steve Jobsも、56年の生涯をかけて壮大な物語を作った人です。その物語に登場する重要な要素として、Mac, iMac, iPod, iPhone, iPad等々が位置づけられいて、単に、優れたデバイスを作るだけの人だったら、アップルも今のようにはならなかったと思います。

我々がこれからやって行かねばならないのは、それがどんなにしんどいことでも、20世紀の成功体験を忘れ、21世紀の新しい経済モデルや生態系をスクラッチから生み出して進化させていくことだと思います。そしてそれが日本を再び世界に貢献する新しい国として生まれ変わらせる唯一の道でもあると信じています。

辻野晃一郎コラム

このエントリーは2012年10月10日 配信の ALEXコーポレートメールマガジンのバックナンバーになります。メールマガジンの購読を希望の方はこちらのフォームからお願いいたします。