2013年4月25日

年末のご挨拶:辻野晃一郎コラム [2012年12月25日配信バックナンバー]

早いもので今年も年末を迎えました。こちらのコラムもこれが年内の書き収めということになります。日本では一年の最後の月を「師走」といいますが、文字通りの慌ただしい日々が続きます。これは、いろんなことを年が変わる前にやり遂げてしまおう、という日本人の「けじめ」を大切にする精神性から来ているようにも思います。それに加えて、クリスマス商戦、年末の大売り出しなど、商売の面でも年の終わりはかき入れ時でもあり、多くの人達が本当に忙しく動き回っているように見えます。

その実に慌ただしい年末を終えて元旦を迎えた瞬間の静けさや清らかさは、日本人に生まれて来てよかった、と感じる時でもあります。日付が切り替わっただけで、まさに「動」から「静」へ世の中が一瞬で転換するように感じます。そして新年もまた、日本人のけじめを大切にする精神性から、初詣、初日の出、初夢、書き初め、仕事初め、大発会、、、等々、さまざまな風習があります。

年の瀬を迎えて過ぎ去った一年を想い、そしてこれから新しく始まる一年への決意や期待が交錯する師走の最後の日々は個人的にもとても好きな季節です。

お付き合いのある皆様やお名刺を交換させていただいた皆様に勝手にお送りしているこのNewsletterですが、いつも読んでいただき心から感謝しております。弊社も第3期目を迎えておりますが、皆様のお陰を持ちまして今年も無事に終えることができそうです。お知らせしております通り、年内の営業は28日まで、新年は4日からのスタートとなります。本年も大変お世話になりましてまことにありがとうございました。皆様におかれましても、素晴らしい年末年始を迎えられることを心よりお祈り申し上げます。

辻野晃一郎コラム

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2013年4月22日

新政権誕生:辻野晃一郎コラム [2012年12月10日配信バックナンバー]

衆院選が終わり民主党が惨敗して自民党が圧勝、維新等も躍進しました。これは何より、3年間に渡って政権担当能力の無さを見せつけた民主党に国民が愛想を尽かした、ということだと思いますが、安倍さんの自民党が返り咲いたのは、「失敗者にセカンドチャンスを与えた」、という意味では悪くない選択なのだとも思います。安倍さんは明らかに政治家として一度挫折した人で、その人に再び信を託したのは、比較的敗者に冷たい国民性からすると、面白い選択とも思えるからです。しかし、逆に言えば、期待した民主党にも完全に裏切られて、ここは一旦、政権運営に手慣れた自民党に戻すしか他に手はない、という国民の絶望にも近いあきらめの選択なのだとも思います。

ところで、右傾化を憂える論調がありますが、私は軽々に右傾化という言葉を使うべきではない、という意見です。ナチスドイツや旧日本軍部等、国が乱れると右傾が始まる、というのは歴史の常ですが、現在の状況は、民主党があまりにも無能で外交面でも大きく後退し、特に鳩山さんの迷走で日米関係が大きく傷ついてしまい、その為に、中国やロシアや韓国に付け入る隙を与えてしまった、ということがまず背景にあるのだと思います。その為に、尖閣問題や北方領土問題、竹島問題が一度に再燃し、それを契機に、国民の国防に対する危機意識が高まった、ということです。そういう意味では、右傾化を憂える以前に、平和ボケしている我が国の国防に対する意識や領土保全に対する意識がようやく目覚めたに過ぎない、というレベルの話だと感じています。本来、国防や領土の保全は国のアイデンティティを考える第一歩ですから、国民の意識が高まって議論が盛り上がるのはあるべき姿と言えます。

いずれにしても、ようやく3年余りの政治の混迷に終止符が打たれて、新しい国造りが始まるこのタイミングはとてもエクサイティングですし、誰にとっても他人事ではありません。今後の政権運営に注目して行きたいと思います。

辻野晃一郎コラム

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2013年4月18日

21世紀の新しい秩序とは?:辻野晃一郎コラム [2012年11月25日配信バックナンバー]

混迷を極めた民主党政権にようやく一旦終止符が打たれることになったのは喜ばしいことですが、次の政権を誰に託するのか?ということを考えるとはなはだ悩ましいですね。民主党の再登板は勘弁してもらうとして、かといって日本維新の会をはじめとするいわゆる第三極でははなはだ危なっかしいですから、やはりここは一度自民党政権に戻すしかないのだろうか、、、などと自分の一票をどう行使すべきかを考えあぐねています。

ところで、今、日本だけでなく、世界中が混迷の度合いを深めているように見えますが、これはマクロに見ると、おそらくネットやクラウドやソーシャルの登場によって、20世紀の秩序や常識が組み替えられるフェーズに入り、かといって、21世紀の新たな秩序や常識が着地点に至っているわけでもないために、世界中が混乱状態に陥っているのではないかと感じています。「政党政治」とか、「民主主義」とか、「国家」とか、「権威」とか「エスタブリッシュメント」などといったいわゆる20世紀的な概念の意味が大きく変わりつつあるのを感じます。ネットの発達によって、無限のコンピューティングパワーが安価に個人に解放される時代となり、個人がエンパワーされ、自分のアジェンダで活動し易くなったことにより、自分自身が所属するものへの依存度なども変ってきているのだと思います。ネットの中にボーダレスな地球がもう一つ出来上がっているような時代には「クラウドのリアルタイム性」ということがキーワードになっており、あらゆることが瞬間的に世界へ伝搬し、平準化され、ネットがなかった時代には他人事だったことが直ちに自分事になるような時代に我々は生きています。WikiLeaksのようなものも、単純に「悪」とも「善」とも論じることが出来ないようなネットの時代の新たな概念と言えますし、Googleにしても、もともと物議を醸すようなことをやり続けながらも、今や我々の生活になくてはならない存在に至っているわけです。

そう考えると、このような秩序の組み換えの時期、世の中が混迷を極めている時期というのは、実は大きなチャンスでもあると感じています。20世紀まで、西欧的な発想やスタイルが中心に組み上げられてきた価値観や秩序の中で、どちらかというと肩身の狭い思いをさせられてきた日本的常識や日本的スタイルの中には、実は新しいグローバル・スタンダードとして世界の常識にして行った方が今後の世界貢献に繋がるようなことがたくさんあるのではないでしょうか?震災時の日本人の行動パターンに多くの外国人が賛辞を送ってくれたのも記憶に新しいところです。日本人は戦後教育の中で、日本的なものを否定するような風潮や論調に過度に洗脳されて来ました。先日、アメリカ人の知り合いと話していたら、「日本人と話すと自国の悪口ばかり言うが、他の国の人達は自国の自慢しかしない」、と言っていました。そういう面も「謙譲の美徳」という意味合いでは日本人のいいところなのかもしれませんが、本音で自国の悪口を言っているとすれば大いに問題です。これからは、自国に自信を持ち、そのいいところをもっと積極的に世界に伝えて行く態度や行動がより重要と感じます。これまで、グローバライゼーションというと、一方的に世界の常識に自分を合わせる、というようなニュアンスが強かったように思いますが、日本人は日本人であることによってしか世界貢献出来ないわけですし、自国に根差したアイデンティティを確立した人こそが真の国際人と言えるのだと思います。

このような時代に生きる意味ということをよくよく考えながら今回の選挙に臨みたいと思います。

辻野晃一郎コラム

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2013年4月15日

硫黄島:辻野晃一郎コラム [2012年11月10日配信バックナンバー]

今年も早いもので年末が近づいて来ました。悔いのない一年となるように残りの日々を大切に過ごしたいと思います。

先日、息子が「硫黄島に行く」と突然言い出し、自衛隊の軍用機に乗って硫黄島に行ってきたので少し驚きました。大学生なのですが、朝比奈一郎氏が主催する青山社中のリーダー塾というのに通っているようで、そこの企画で慰霊祭に参加する機会を得たようです。

戻ってきてから、撮ってきた写真をいろいろ見せながら話を聞かせてくれましたが、太平洋戦争中の激戦の地、多くの日本兵とアメリカ兵が犠牲になった地に赴いたことによって、彼なりにさまざまに思いを巡らせたとみえて、言動が少し変化していました。

硫黄島といえば、守備隊の栗林忠道中将が有名で、クリント・イーストウッドの映画「硫黄島からの手紙」では渡辺謙が演じて話題となりましたが、この栗林中将は抜きん出たリーダーとしての力量のあった人と言われています。硫黄島が陥落すると、B29によって直接東京が空襲の脅威に晒されるため、首都東京を焼土としないために硫黄島を死守することが栗林部隊の責務でした。当初、米軍は5日で硫黄島を陥落させる予定でしたが、この栗林中将の卓越した戦術と実行力、統率力によって守備隊は最後まで徹底抗戦して、実際には陥落まで36日間を要しました。制海権、制空権を確保し、火力兵力その他物資において圧倒的に優勢であった米軍の死傷者は日本側の死傷者を上回ったと言われています。上記映画は日本側からのストーリーとアメリカ側からのストーリーの二部作となっていましたが、原作者のジェームズ・ブラッドリーは、栗林中将を「米軍を最も苦しめ、それゆえにアメリカから最も尊敬された男」と称賛しています。

米軍が上陸した浜には、「名誉の再会(REUNION OF HONOR)」と呼ばれる石碑が建てられており、山側の面が日本語、海側の面が英語で、二度とこのような悲劇を繰り返してはならないということと、日米の平和と友好を誓う文字が刻まれているそうです。

今の平和と繁栄の背景にはこのような歴史があり、多くの人達の犠牲や家族の悲しみなどがあったことを忘れてはならないとあらためて思いました。

辻野晃一郎コラム

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2013年4月11日

瀬戸内グッドライフツアー:辻野晃一郎コラム [2012年10月25日配信バックナンバー]

先日、仕事を通じてお知り合いになった村山昇作氏がJTBやANAや百十四銀行の協力を得てアレンジされた「瀬戸内グッドライフツアー」にお誘いいただき2泊3日で高松市に行って来ました。村山氏は日銀ご出身でその後帝國製薬(株)の社長に転出され、現在は先日ノーベル賞受賞が決まった山中先生のiPS細胞の事業化に取り組むiPS アカデミアジャパン(株)の代表取締役社長をしておられます。また、百十四銀行の顧問や、完全無農薬、無化学肥料、無畜産系肥料の「ムムム自然栽培農場」の運営にも携わっておられたり、天体望遠鏡のコレクターとして社団法人天体望遠鏡博物館代表も勤めておられるという、極めて多彩で大変にエネルギッシュな活動家でそのライフスタイルには大いに触発されました。もともと京都西陣のご出身と伺っておりますが、日銀時代に高松支店長としてこの地に赴かれ、高松市や香川県との縁を深められたそうです。


今回のツアーでは、村山さんのお知り合いの方々の私邸を巡る、という大変にユニークなツアーを企画され、(株)ランゲージハウス社長のペイジ氏のお宅や、JR四国会長の松田氏のお宅、香川証券(株)社長の中條氏のお宅を始め、穏やかで美しい瀬戸内の海や島を臨む素晴らしい環境の中で、仕事や人生を大いに謳歌しておられる皆さんに多数お会いすることが出来ました。それぞれの皆様のこだわりのライフスタイルはまさに人生の達人ともいうべき刺激に満ちたもので、やはり毎日豊かな自然に身近に接する生活こそ本来の人間らしい生き方ではないかと思い知らされました。また、私邸以外では、ミシュランも三つ星を付けた名勝「栗林公園」、日系2世の家具デザイナー ジョージ・ナカシマの記念館や桜製作所なども訪れました。


ツアーの最後では、上記「ムムムの農園」に豊かに実ったナスやキュウリやイモなどをみんなで収穫して楽しみましたが、ナスやキュウリなどはそのままその場でいただいてもみずみずしくて甘く驚きました。村山さんはここで採れる野菜しか召し上がらないそうですが、とても健康になられたとおっしゃっていました。

自分の残りの人生を考える上でもいろいろと参考になる実り多い旅となりました。



辻野晃一郎コラム

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2013年4月8日

ALEX as an Auditorium:辻野晃一郎コラム [2012年10月10日配信バックナンバー]

山中先生のノーベル賞受賞について心から賛辞をお送りしたいと思います。久々に目の前がパッと明るくなるような素晴らしいニュースでした。iPS細胞という世界人類を救う偉業の今後の実用段階での成果に大いに期待したいと思います。

さて、前回に続き、ご批判を承知で敢えて乱暴な言い方をしますが、私は、私も在籍していたソニーも含め、今の日本の多くの大企業の役割はある意味終わったと思っていて(立派に素晴らしい社会貢献を果たし終えた、という意味で)、20世紀の経済成長を先頭に立って牽引してきてくれた会社に、引き続き21世紀の成長戦略も期待するのは虫が良すぎるのではないかと思います。マスメディアの論調の中には、一部の大企業の成長神話復活を期待するものも多いですが、それは期待する側の勝手なノスタルジーでもあると思います。今の時代は、佐々木俊尚さん流に言えば、「グローバル・プラットフォームとノマドの時代」で、古い日本的大企業の居場所がなくなってきている時代とも言えます。これからは、日本人も、もっと個人個人のアジェンダで世界に向けてどんどん積極的に発信していくことが重要で、それを手伝ってくれるのがインターネットやクラウドがもたらしてくれている「グローバル・プラットフォーム」であると思っています。

弊社では、ALEXCIOUSという越境コマースのグローバル・プラットフォームを、日本の多くの才能ある個人が登壇して世界に向けて発信する「舞台、オーディトリアム」というコンセプトで開発しましたが、先日もお伝えした通り、それに加えてCOUNTDOWNというクラウドファンディングのグローバル・プラットフォームを先月新たに立ち上げました。これらを通じて、我々が真にやっていきたいことは、多くの日本のチャレンジャー達が生み出している数々の物語を世界に向けてどんどん伝えていくことです。これらの物語をALEXCIOUSCOUNTDOWNという舞台の上で登壇者の方々に自由に演じていただき、そのうちに世界中の人達が舞台の周りに集まってきて、自然といろんな共演(コラボレーション)もどんどん始まり深まって行く、というイメージです。

よく言われることですが、日本人は「モノ」作りはうまいけど「コト」作りが下手くそ、すなわち、ストーリー作りがあまり上手ではありません。昔、ソニーが日本発の企業としてあの時代に一代で世界企業になったのは、story teller、life style creatorだったからです。Steve Jobsも、56年の生涯をかけて壮大な物語を作った人です。その物語に登場する重要な要素として、Mac, iMac, iPod, iPhone, iPad等々が位置づけられいて、単に、優れたデバイスを作るだけの人だったら、アップルも今のようにはならなかったと思います。

我々がこれからやって行かねばならないのは、それがどんなにしんどいことでも、20世紀の成功体験を忘れ、21世紀の新しい経済モデルや生態系をスクラッチから生み出して進化させていくことだと思います。そしてそれが日本を再び世界に貢献する新しい国として生まれ変わらせる唯一の道でもあると信じています。

辻野晃一郎コラム

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2013年4月1日

COUNTDOWN(カウントダウン):辻野晃一郎コラム [2012年09月25日配信バックナンバー]

仕事柄、長くシリコンバレーの人達と接する機会が多く、また彼の地に通っていたような時期もあった経験から言うと、日本の産業界は圧倒的に新陳代謝のスピードが遅いですね。まず、シリコンバレーにいるようなエンジェルやVCが不在でリスクマネーがまったく回っていません。リスク=オポテュニティに投資するのではなく、リスクがないとわかって初めて投資するような似非投資家が多い印象です。インキュベーションファンドなどといっても、投資額が¥300万とか¥500万とかの小口のものばかりです。リスクがないものに少額投資したところでリターンもたかが知れています。一方で、20世紀の経済発展を牽引してきた大企業の中にはさすがに劣化が目立つところも増えており、21世紀の成長戦略を引き続きそういう企業にばかり託し続けようとするのも無責任で酷な話だと思います。このような我が国のビジネス環境を取り巻く現実については、自ら起業してみることによっても目の当たりにさせられました。ですから、現在弊社に出資していただいている株主の皆様には本当にどれだけ感謝してもし切れるものではありませんね。あらためて深謝致します。

今の日本に必要な長期改革を2つだけ挙げるとすれば、①産業の新陳代謝を促進するインフラや仕組みの構築と②教育改革であると思っております。世界銀行の調査によると、日本は起業のしやすさという項目で183カ国中107位、課税に関する項目では120位、許認可取得については63位だそうです。起業行為を始め、もっとチャレンジする個や斬新なエネルギーを積極的に応援する環境を整えて行くことはまさに国家の急務と感じております。

そのような問題意識から、このたび、果敢に挑戦する人達を応援するプラットフォームCOUNTDOWNを新たに立ち上げました。これは、所謂クラウドファンディング、ソーシャルファンディングと呼ばれる新たなチャレンジ支援インフラ事業で、弊社の社是である「日本発世界」を基軸に、グローバルな挑戦を志す人達を応援するためのグローバルプラットフォームです。すでに運営を続けております「日本発世界」の越境eコマースALEXCIOUSの事業とも密接な連携を図ることが出来るサービスとなっております。

下記にあります通り、弊社はこのたび拠点を品川区に移転致しますが、気持ちも新たに、ALEXCIOUSCOUNTDOWNの2本立てで、新しいステージの構築に引き続き邁進する所存です。皆様の変わらぬご支援をなにとぞよろしくお願い申し上げます。

辻野晃一郎コラム

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