2013年3月29日

ENJOY JAPANESE KOKUSHU (國酒を楽しもう):辻野晃一郎コラム [2012年09月10日配信バックナンバー]

内閣府国家戦略室の「ENJOY JAPANESE KOKUSHU (國酒を楽しもう) 」プロジェクトの推進協議会メンバーとして計4回の会合に出席し、先日、古川大臣宛に「國酒等の輸出促進プログラム」を提出して推進協議会としての活動が一旦終了となりました。プロジェクトの名称からはなんだかお気楽な会合のようですが、実際は、国内消費が縮退の傾向にある日本酒や焼酎のグローバルマーケット開拓を推進するための真剣かつ活発な意見交換の場となりました。お酒の専門家でもない私は、越境の電子商取引を推進する立場から参加のお声掛けをいただきましたが、これを機会に日頃感じていることについて忌憚のない意見をいろいろと述べさせていただきました。詳細は、http://www.npu.go.jp/policy/policy04/archive12.html をご参照ください。

工業製品で世界の経済大国に上り詰め、made in Japanブランドを確立した我が国ではありますが、それもすっかり昔話となってしまい、国際社会における我が国の存在感はここ最近、急速に薄らいで来ています。特に2011年3月には未曽有の震災にも見舞われ、まさに歴史的な国難ともいえる状況に直面する中で、私が在籍した家電産業を始め、国家の経済発展を牽引してきた主力産業分野においても苦境が目立っています。

まさに今、これからの新しい産業の機軸を打ち立てねばならない重要な局面にありますが、我が国にとって可能性のある分野は20世紀後半に頑張った工業製品の製造業以外にもエネルギー分野や医療分野など、たくさんあると思います。いわゆる生活文化産業を輸出産業に転換するというテーマもその中の一つですが、残念ながらフランス、イタリアなどに比べると輸出産業としての本格的な展開が遅れていると感じています。今後、酒、食、ファッション、観光、美術、芸術、工芸品などのマーケットを世界を意識して広げていく努力は我が国の国家戦略としても非常に重要なものと感じており、弊社もその中で引き続き頑張って参る所存です。

辻野晃一郎コラム



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2013年3月25日

ニューメキシコ:辻野晃一郎コラム [2012年08月25日配信バックナンバー]

今週は遅い夏休みを家族と共にアメリカのニューメキシコ州の山の中で過ごしています。学生時代にイリノイ大学に留学した時に知り合ったこちらの友人が現在ニューメキシコの州都サンタフェに住んでいて、そこから2時間くらい行ったところに広大な土地を確保してプライベートリゾートを営んでおり、そこに招いてくれました。プライベートリゾートと言っても、20棟ほどの古いログキャビンを買い取ってそこを手作りで再開発したような質素なところなのですが、渓谷や森林や野生の動物など、アメリカの大自然を満喫できる素晴らしいところです。

彼と知り合ったのは私が21歳の時でしたが、お互いに結婚した頃から交流が途絶えてしまっていました。しかし、最近になって、facebookやLinkedInによって交流が再開し、昨年、彼が娘を連れて日本に遊びに来た時に25年ぶり位に再会しました。何と、今年17歳になった娘さんがNarutoやOne Pieceなどの日本のコミックやアニメに触発されて大の日本ファンとなり、日本語を勉強するサマースクールに参加するということで、アテンドして来日したのです。

お互いに、順風満帆というよりは紆余曲折、チャレンジ続きの人生なのですが、こうして長い時を経て若い時の友人に再会できたことは、自分自身を再発見したりこれまでの人生をいろいろと振り返ることにもなり、今回もこちらに来て大いに旧交を温めることが出来ました。

人の縁ということや、大自然の恵みの大切さをあらためて深くかみしめる忘れ難い夏休みとなりました。身も心もリフレッシュして来週からはまた仕事に専念したいと思います。

辻野晃一郎コラム

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2013年3月22日

国の強さは国民一人一人の強さに帰結する。:辻野晃一郎コラム [2012年08月10日配信バックナンバー]

毎年、8月はどうしても歴史に思いを寄せる月となる。6日が広島の原爆記念日。昨日、9日は長崎の原爆記念日。そして15日は終戦記念日である。日本には長く平和な時代が続いてきたが、体験しているしていないに関わらず、この国が壮絶な歴史を刻んできたことを忘れるわけにはいかない。

そして今は、政治を見ても、経済を見ても、まさに混沌の時代である。太平洋戦争後、日本は直接戦争に巻き込まれることは無くなったが、一方で国防に関してめっきり疎い国となってしまった。防衛大臣が目まぐるしく代わる中、沖縄の米軍基地に関する混乱はオスプレイ導入の是非をめぐる議論に発展し、中国との間では尖閣列島の問題も再燃して予断を許さない。また、昨年3.11の大震災以降、原発災害への対応を巡る大混乱も、この国のリスク管理能力の低さや甘さを白日の下に晒した。

そんな中にあって、今年のロンドンでのオリンピックも大詰めを迎えているが、ここにはアスリート達の純粋な力の勝負があり、見る者の胸を打つ。勝つことの難しさ、さらには勝ち続けることの難しさを体を張って教えてくれる選手達の活躍に目が離せない。

結局、国の強さは国民一人一人の強さに帰結する。一人一人が目標を持ちそれに向かって全力で取り組む、そしてそういうチャレンジャー達を周囲が支援したり応援する、ということが国の強さや秩序を取り戻していく上での基本であるように思う。オリンピックの勝者へのインタビューを見ていると、勝者たちは例外なく開口一番周囲への感謝の言葉を口にする。チャレンジは一人の努力では成功しない、自分の努力や精進に加えて多くの周囲のサポートが目標達成にとって欠かせないのだいうことを痛感しているからだろう。

アスリートだけでなく、我々も今から4年後の自分自身の目標を明確にしてそれを周囲に公言し、多くのサポーターを集めながら目標達成に向けて動き出すことがこの国を良くしていくための第一歩になるような気がする。

辻野晃一郎コラム

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2013年3月17日

デザインと経営を考える会:辻野晃一郎コラム [2012年07月25日配信バックナンバー]

先日、富山県総合デザインセンターから招聘いただき、地元企業の経営者の方々を集めて朝会として行われている「デザインと経営を考える会」のゲストスピーカーとして弊社の取り組みの紹介などをしてきました。 せっかくの機会でしたので、桝田酒造の桝田さん始め、和紙、ガラス工房、焼き物工房、富山近代美術館なども回ってきました。近代美術館ではちょうど世界ポスタートリエンナーレというのをやっていて素晴らしい作品をたくさん見ることが出来ました。


富山市はコンパクトシティ構想の下、街並みの整備が続けられてきたそうですが、市の中心を流れる神通川に沿った運河や環水公園などが非常にきれいに整備されおり、運河では大学のボート部が練習していたり、また、市内にはポートラムというトラム(市電)が走っていたりで、ドイツなどヨーロッパの街並みを思わせるような雰囲気がありました。

満寿泉(ますいずみ)ブランドで全国的にも有名な富山を代表する蔵元の桝田さんには、桝田酒造のある岩瀬地区の案内もしていただきました。岩瀬は北前船と言われる北海道との交易船の拠点として廻船問屋が栄えた地ということで、桝田家も初代は北前船に乗って北海道で酒造業を始めたのが起源だそうです。その後、岩瀬に戻って、満寿泉で大成功され、今の代の桝田隆一郎さんもこの地域の再開発や地域振興事業などに大変な尽力をされている地元名士の一人です。岩瀬の街並みは、建物の通りに面した表側を地域単位で改装して、江戸時代の古い街並みを再現しており、そこにギャラリーや工房やレストランや酒蔵などを作って全国から若手のクリエイターなどを呼び込んでおり、とてもいい雰囲気のクリエイティブなコミュニティが出来上がっています。ガラス作家の安田泰三さん、越中瀬戸焼作家の釈永岳さん等にもお目に掛かりました。


少し古い記述のようですが、桝田さんの取り組みや岩瀬の町については江戸川大学の先生の記事に詳しくありますのでご興味があれば参照してください。

偶然ですが、現在の富山県総合デザインセンターの大矢所長は、昔ソニーのデザインセンター長をしておられた方でもあり、その前もやはりソニーの黒木靖夫さん(故人)が勤められていたということで、いろんなところで人の縁が繋がっていることを非常に面白いと思いました。

そうそう、最後に、地球をかたどった帽子をかぶる石川華代さんという不思議な女性にも出会いました。私も日頃「地球目線」を意識しているので、思わず反応してしまいましたが、世の中には本当に楽しい人達、さまざまなチャレンジをしておられる人達がたくさんいらっしゃるものだと感心しました。


辻野晃一郎コラム

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