2013年2月6日

音禅法要:辻野晃一郎コラム [2012年06月05日配信バックナンバー]

昨年、同志社大学経済学部の八木匡教授のご紹介でお目に掛かって以来、 懇意にさせていただいている世界的音楽家のツトム・ヤマシタ氏。クラッシック、 ジャズ、ロック、フュージョンのそれぞれの世界で頂点を極め、究極の音を 求めてたどりついた石の音色で「音禅法要」を生み出されました。 ローリング・ ストーンズに誘われた日本人という逸話の持ち主でもあります。京都ご出身の ヤマシタ氏が、禅寺の名刹「大徳寺」で毎年開催されているこの「音禅法要」の イベントが、今年は6月2日(土)に執り行われました。私は初めて伺いましたが、 コンセプト的には弊社サイトALEXCIOUSでもご紹介している「Walking on Sound」に近いものでした。

今年のテーマは「東日本大震災の復興への祈り」。イタリアとスイスからグレ ゴリオ聖歌隊の男性歌手二名を招聘し、グレゴリオ聖歌、般若心経をはじめと したお経の読経、和笛と和太鼓、ヤマシタさんのオリジナル打楽器であるサヌ カイトの演奏などが見事に融合した、非常に幻想的かつ感動的なイベントでした。 キリスト教と仏教のコラボに少しも違和感を感じることなく、むしろ、共通す るものを多く感じました。おそらく、世界的に見ても、このような異教間のコ ラボや、宗教と芸術と音楽を組み合わせたイベントは稀有だと思います。
この見事で類まれなパフォーマンスを構想し具現化されたヤマシタ氏の天才的 な才能にあらためて畏敬の念を覚えずにはおれませんでした。

招待制のイベントでしたが、集まった聴衆は300名ほどということで、京都 市長の門川大作氏もいらしていました。門川氏とは、グーグル時代にストリー トビュー・スペシャルコレクションのイベントを二条城で開催した時にもお目 に掛かったのですが、その時のご挨拶のスピーチで、「Google meets Kyoto」 というテーマで、「一見ミスマッチに見えるものが実は最適な組み合わせであ る」、という話をしたことを思い出しました。「人類の知の保全と共有」とい う観点からは京都の国宝級の神社仏閣をクラウド上に永久保全するというのは 極めてGoogleの本質に沿った社会的意義の深い活動だと感じたものです。

今回は「Christianity meets Buddhism」とも「Integration of the life and eternity」とも言える不思議な感覚を味わいながら、東北の大震災で犠牲に なられた方々へ思いを巡らせ、復興への祈りを捧げる敬虔なひと時となりました。

辻野晃一郎コラム

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