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中心のない世界地図
ALEXCIOUSでも取り扱っている「オーサグラフ世界地図」の開発者、鳴川肇さんのお話を直接伺う機会がありました。オーサグラフは、「球体」である地球の陸地の面積比を極力正しくかつ形状の歪みを分散しながら、「長方形」の平面に収めることに成功した画期的な地図です。一枚一枚を縦横に限りなくつないでいくことで「中心のない世界地図」をつくり、世界全体を自由に見渡す観点を持つことができます。デザインもさることながら、このオーサグラフの開発に至るまでのストーリーや、建築、美術、世界史、地理学などにまたがる鳴川さんの世界観に感銘を受けました。「Far EastやMiddle East、Up Northといわれるのは私たちが慣れ親しんだ地図上で右端や真ん中、上に見えるから。本当は真上・真下や端はないのに、世界観は地図で決まってしまって言葉のフレーズになって出てきてしまう。世界中どこが中心であってもいい、全体視することで世界の見方が変わっていく」という言葉が印象的でした。私たちが慣れ親しんでいるメルカトル図法の世界地図は、はるか昔16世紀後半に生まれたものですが、こんな長い間使われ続けてきたものを定義し直すのは、とても勇気とエネルギーのいることだと思います。オーサグラフは、平面上でありながら宇宙から地球を見ている観点を持った時代に合った世界地図といえるでしょう。
この世界地図の新スタンダード、「オーサグラフ世界地図」を身近に体験できるのが、科学未来館のGeo-Paletteというオンサインサービスです。Geo-Paletteはオーサグラフ世界地図を採用し、数百種類にも及ぶ世界の国々や地域に関するさまざまな情報をもとに、自分だけのオリジナルの世界地図を描くことができます。異なるデータを自由に重ねあわせ、色分けできるので、地球環境や世界中の社会活動を新しい観点で見ることができます。たとえば、出生率+識字率+離婚+失業+平均寿命などで自分だけの幸せマップを調べてみたり、文化・教育の観点から住みたい場所を見つけたりすることができます。ユーザーが作ったバリエーションに富む世界地図は見ているだけでも十分楽しめます。「一人あたりの卵の摂取量と離婚率の関係」を調べた地図・・・(関係があるようなないような?)、自分の好きな果物の生産量のデータを重ねた「「僕にとって世界一幸せな国」。作者による「中国が美味しそうです。意外と近いところに幸せはありました!」という発見のコメントなどなど。子どもの頃からこの世界地図を取り入れて勉強したら、多極化する世界をもっと身近に感じ、全体視することができるようになるのではないでしょうか。実際に体験していくことで世界観が変わる画期的な世界地図です。自分だけのオリジナルマップを作ってみて、ぜひ「中心のない世界地図」を身近に感じてみてください。
森山