2012年2月17日

沖縄美ら海水族館の盛況

夏以外の季節に行く!と決めている沖縄に、1月半ば、2年ぶりで行ってきました。
今回初めて、本部半島にある「沖縄美ら海水族館」を訪れました。
年間約270万人が来館する大人気の観光スポットではありますが、車を運転しない私にとっては、那覇からのアクセスの問題もあり、なかなか行くチャンスに恵まれませんでした。
以前、会社の同僚が、那覇空港からレンタカーを使い日帰りで行ってきた、と言うのを聞き、そこまでの価値があるのか、自分の目で確かめてみたかったのです。

訪れたのは1月の平日。お昼前でしたが、館内はすごいにぎわいでした。
入口付近に、海水にヒトデが入ったオープン水槽(タッチプール)があり、そこに直接手を入れて、ヒトデにさわることができます。
ここは、陸にもっとも近い「イノー(沖縄方言で、サンゴ礁に囲まれた浅い海)」を再現しているそうです。
通常の水族館なら水槽のガラス越しでしか見られない海の生物に、素手で触れるという体験をのっけからできる驚き。
これだけで、この水族館が“常識”を覆してくれることが、予感できます。
次々に現れる、鮮やかな色彩のサンゴの海、カラフルな熱帯魚の海……こった照明に映える、美しい色合いや、不思議な風体の魚たちに魅了されます。
圧巻は、世界最長飼育記録をもつジンベエザメのジンタやナンヨウマンタが、優雅に泳ぐ世界最大級の大水槽です。シアターのような大画面に、なかなかその前から離れられませんでした。
そして、驚いたことに館内はどこでも撮影自由なのです!
私は、以前美術館に勤めていましたが、公共の展示施設内は当然撮影禁止と思い込んでいたのです。
最新のカメラや携帯端末で、泳ぎまわる魚をいかにしてうまく撮るか、皆必死で、かつ楽しそうです。
いつまでも浸っていたい、青い海の世界。
水とお茶目な魚たちを見ていると、自然と心が癒されていくのは、人間も海から生まれた動物だからなのでしょうか。
観覧者がただ見るだけでなく、積極的に参加できる要素がふんだんな展示施設はなんと魅力的なのでしょうか。
もちろんこちらの水族館は、世界初や世界一の人工飼育例をふんだんにもつ、海洋生物の学術施設としても高い評価を得ています。

沖縄美ら海水族館は、2011年に退いた内田詮三前館長の“生きた証”と言われているそうです。東京外国語大学卒業後、民間の伊東水族館に所属していた内田氏が国営沖縄記念公園水族館館長に抜擢されたのは1981年。今から31年前です。99年に「沖縄のエイ・サメ類の研究」で農学博士号(東京大学)を取得。学術研究と並行して、2002年に沖縄美ら海水族館へのリニューアルを成功させた、希有な学者であり、館長です。現在、沖縄美ら海水族館は国の独立行政法人ですが、前例主義では決してできない、ユニークな施作が次々にヒットを生み出していったのです。
ちなみに内田氏のお気に入りは、「危険ザメの海」だそうです。

観光立県沖縄には毎年約558万人の観光客がやってきて、そのうちの48%(約270万人)が来館する沖縄美ら海水族館。
水族館の大成功が、県の発展にも確実に寄与しているのです。

長年、旅記事の編集者として地方を取材して回っていると、人が集まり、活気のある場所には、必ずこうした“傑出した人物”がいることに気づきます。
そうした人々に共通しているのは、“前例や常識にとらわれない自由な発想”と“チャレンジ精神”のような気がします。

魅力ある発信をしていくためには、何が必要なのかを考えさせられた短い旅。
この旅で得たことを、ALEXCIOUSのコンテンツ制作に少しでも役立てていきたい思った次第です。



P.S.水族館の裏側まで楽しめる(非公式)わくわくガイドブック「みんなの沖縄美ら海水族館」(マガジンハウス)。写真を撮っている沖縄在住の垂見健吾さんは私の長年の友人です。現地に行けない方はこちらの本でバーチャル体験してみてください!




越山昌美