つくづく、世の中には頭のいい人がいるものだと思う。先日のTEDで鳴川肇さんという方の存在を知った。その縁で、先日弊社を訪問してくださったのだが、Authagraphという新しい世界地図の投影方法を考え出した日本人建築家だ。
我々はメルカトール図法による世界地図に見慣れているが、そもそも、球体である地球を長方形の平面上で完璧に表現することは不可能で解がないために、面積や、形状や、方位など、何を優先するのかによってさまざまな図法が生み出されてきた。彼は、陸地と海域の面積比を正確に長方形の中に収めることにこだわってこの図法を考案したという(図法の詳しい説明はAuthagraphのホームページを参照してください)。
仕上げた地図の一枚一枚を縦横に並べて限りなく繋いでいくことが出来るので、特定の中心点を排して世界全体を見渡す「中心のない世界観」を提供してくれ、また、時間軸をたどって並べて行くと、世界地図から何千年に及ぶ世界史を俯瞰することも出来、まさに世界を見渡す上でのまったく新しい視点やヒントを提供してくれる。
グーグルにいた時に、グーグルの人達がいつも宇宙のかなたから地球全体を眺めているような視点を持っているような気がしたが、地球がとっても狭くなった今、我々に求められているのは、小手先の議論よりも、まず地球を単位とした発想力だと思っている。日本人の中にも、宇宙目線を持ち、このような画期的な図法を生み出した天才がいることを知ったのは非常に心強いことであった。
