先日、東京国際フォーラムで開催された「アートフェア東京2011」に行って来ました。日本最大の美術見本市として2005年に始まったこのフェアに、実際に足を運ぶのは初めてでした。会場は何とも言えない熱気に満ちており、おびただしい作品群が所狭しと並べられ、非常に刺激的な空間でした。アートフェアの何よりの楽しみは、やはり国内外のあらゆるジャンルのさまざまな作家の美術が一堂に見られることだと思います。今年は計133軒のギャラリーが出展しており、古美術、工芸、日本画、洋画、現代アートなどなど、数千点にものぼる作品を展示販売していました。
限られた時間の中でしたが、作家さん自ら作品を解説してくださったり、ギャラリーオーナーの方から創作の裏話を聞けたり、新鮮な経験でした。どの作品も、ガラスケースなしで、間近で見ることができます。美術館でガラス越に見るのとは違い、作品を身近に感じることができるのはとても贅沢なことです。控えめながらも独特なオーラを放つある作品に見入っていたときに、作家さんが直接話しかけてくださり、その言葉と作品が結びつき、心に響きました。ひとつの作品が仕上がるまでの時間やエネルギー、思いというのは、観る側にとっては想像を絶するものだと思いますが、それを、作品をとおして感じ取ることができると、感動を覚えます。
細かい技法を使った作品、社会問題を扱う作品、思わずクスッと笑ってしまう絵、圧倒的な存在感のある彫刻、美術館級の古美術・・・。どの作品も、百聞は一見にしかず、です。作り手の心が宿っているエネルギー溢れる作品の数々に触れ、つくづく表現することの楽しさ、難しさを思い巡らせました。作品を生み出すまでの労力や思いは、どのように報われていくのだろう、それに併せて、ビジネスとしての視点からの作品に商品価値をつけていくことの厳しさについて、考えさせられます。ジャンルと時代を越えた、それぞれオリジナリティーにあふれる作品に圧倒されつつ、人間は、まさに「表現する動物」であり、「創作する存在」なのだ、と確認する思いでした。
森山
森山