スタートアップの企業にとって常に起業家の集団であり続けるように全員の意識を保つことは生命線の一つと考えている。人の慣れというのは恐ろしいもので、サラリーマン生活をした経験者なら誰もが分かると思うが、毎月給料が自動的に振り込まれるという生活を1年も続けると、所謂「サラリーマン根性」というものが知らないうちに骨の髄まで沁み渡ってしまう。したがって、サラリーマン生活を経て起業した集団は、まず、この体に染みついた「サラリーマン根性」というものを最初に徹底的に脱ぎ捨てねばならない。スタートアップでは、指示待ち、様子見、マンネリ、周囲への依存や甘え、不平不満、愚痴、弱音、あきらめ、見栄、など、通常のサラリーマン社会で横行しているスタンスは一切通用しない。万が一、そんなムードが一瞬たりともチームに発生したら、直ちに是正していかねば命取りとなる。
スタートアップのメンバーは、全員が、自分はリスクテイカーであり、チャレンジャーであり、アントレプレナーである、ということを呪文のように毎日何度も自分自身に言い聞かせねばならない。そして、どんな些細なことに関しても、ありとあらゆることに創意工夫を怠らない、世の中の常識を徹底的に疑う、人の意見に簡単にうなずかない、物事を真逆から見てみる、何事も直ちに意思決定して行動する、決してあきらめない、などを基本スタンスとして、とにかく、自分自身を徹底的に機敏で探求型で能動的な人間に仕立て上げて行く努力やトレーニングをたゆまず継続して行かねばならない。
起業家であり続けるということは決して生易しいことではないが、信ずるビジョンのもと、自分のアジェンダに従って自分の知恵と行動力で生きる、ということは、日々の発見への新鮮な感動や、何があってもポジティブに対処する逞しさ等の、さまざまな恩恵をもたらしてくれる素晴らしい生き方だと思う。