2011年5月19日

GUTAI


GUTAI、具体美術協会 のこと。
「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示したい」(機関誌『具体』創刊号より) という思いから、吉原治良さんが中心となって1954年に兵庫県芦屋市で若手芸術家により結成された団体です。吉原治良さんは藤田嗣治さんとの出会いなどを経てオリジナリティの重要性に目覚めます。「人のまねをするな、誰もやっていないことをやれ」というコンセプトで、当時の美術に対して理屈よりも具体的にアクションを起こした先鋭的な美術作品を次々と生み出してゆきました。

また、当時、海外の美術家らに機関誌を英語で発信するなど、積極的に海外とのコミュニケーションをしてゆきます。そしてあの 具体美術宣言 も海外に紹介されました。

でも、周りがやっていないことをやっていたわけですから、当初は随分と冷笑されたりと、評価も消極的だったはずです。

白髪一雄さんの泥に飛び込むアクション「泥に挑む」や、村上三郎さんのフレームで障子のように仕切られた十数枚の紙を突き破って走り抜けるアクション「紙破り」田中敦子さんの電気服」など、ブッ飛んでますし、心揺さぶられます。

やがて、GUTAI はフランスの批評家ミシェル・タピエによって「おお!GUTAI こそアンフォルメルだ!」として広く海外へ紹介され、高く評価されるようになりました。その後の展開はさておき、初期のGUTAIの活動や実験は現代美術の先駆者といわれています。

日本から世界への情報発信が弱いといわれて久しいですが、1952年に日本初の国立美術館ができて間もないこの時期に、このような実験が行われていたことを見ると負けてはいられませんね。

松谷