2011年1月17日

日本の国際競争力

代表取締役社長兼CEO 辻野晃一郎

先週の金曜日の夜、NHKの「Bizスポ ワイド」にコメンテーターとして出演しましたが、その日の話題に、自動車会社の地方工場の話や、CES(毎年、年初に米国Las Vegasで開かれる家電イベント)で盛り上がったネットテレビの話がありました。はからずも、私の個人ブログの1月5日のエントリー「2011年以降」でも話題にしたのですが、今は、車も家電もダイナミックな再定義の時代に入っていると実感しています。


インターネットのbefore/afterで世の中は様変わりして、車や家電だけでなく、放送も出版も広告もマーケティング手法も、ありとあらゆる製品や世の中の概念やビジネスモデル等が大きく変わりつつあります。そして、その変化をドライブする中心にシリコンバレーなどのIT・ネイティブやネット・ネイティブのような人達がいるわけです。今はその人達が新しいゲームを次々と生み出し、世の中の新しい流れを創り出しています。日本のお家芸であり、日本の経済成長を支えてきた家電産業や自動車産業は、今後、これらの新しい流れを先取りするか、自分達も新しいゲームを生み出す側に回らないと次第に居場所がなくなっていってしまうと思います。また、言うまでもなく、アジア諸国も急成長中で、国際的に見ると、今や日本の存在感が日に日に薄くなってきています。

NHKの番組では、宮城県にトヨタ系列の自動車会社が小型車の生産工場を稼働させたことが最初の話題でした。村井知事も出演されて、工場誘致に至る苦労話や、地方自治体から国への要望などを熱く語っておられました。このような地方や民間の努力は実に見上げたものなのですが、問題は、国家としての競争力を上げないことには、どんなに地方や民間が努力したとしても、そこには限界がある、ということです。すなわち、法人税率低減や各種規制緩和など、産業を活性化させる国策や政策において、国際競争に打ち勝つシナリオを国レベルでも持つことが急務です。今の民主党政権に、経済再生に向けた思い切った国家戦略を期待できないのであれば、せめてequal footing(企業の競合条件を他国に合わせる)だけでも実現してもらいたい、と思います。中国や韓国やシンガポール等は、優れた国策と国家のリーダーシップによって急速に国際競争力を高めてきた事例とも言えます。日曜日の朝のテレビ番組で、アフリカでのレアアースを巡る利権獲得における日中の差をレポートしていたものも見ましたが、中国が採掘権の獲得や金属の精錬工場の建設を官民一体となって積極的に進めているのに対して、日本の取り組みが全く進んでいない様子に慄然としました。

日本が再び国際競争力を取り戻す為には、個人、企業、国などのそれぞれのレイヤーが強くならなくてはなりませんし、まさに課題山積ですが、我々ALEXも頑張って行きたいと思います。