あと2日で2010年も幕を閉じます。
ALEXを創業した2010年は本当に忘れがたい年となりました。多くの方々のご協力のおかげで今日のALEXがあるわけです。沢山の素晴らしい出会いに心からの感謝の気持ちで一杯です。
先日もそんな素晴らしい出会いがありましたので、今日はそのことを書いてみたいと思います。
慶応大学環境情報学部の武藤佳恭教授の所におうかがいする機会が ありました。武藤教授のご研究されている様々な技術の種を拝見させていただき 、そのどれもが新たな発見と驚きに満ちたものだったのですが、中でも特に印象に残ったのは何気なく壁に掛けられていた「 スピーカー」でした。
武藤教授のスピーカーから発せられる音は、 数十メートル離れた所から聞いたものと至近距離で聞いたものに、ほとんど違いがなかったのです。私が数十メートル移動している間、一切音量は上げていません。自分とスピーカーの距離が離れれば離れるほど聞こえづらくなる、 という私の中の常識が覆りました。
その体験に出会えたことは大変刺激的だったのですが、 同時にある種の恐れの様な感情も抱きました。今考えれば、 それは自分の中の常識が覆ることに対する無意識の抵抗だったのか もしれません。その原理をどう理解すればよいのか、 私の過去の経験にその答えとなる雛形がなかったのです。
ただ、不思議なことに少し時間が経ってその「恐れ」 を乗り越えると、「このスピーカーが世の中に出たらどんなことができるだろう」 というワクワク感が生まれてきました。
今時代はドッグイヤーともマウスイヤーともいわれる変化の時を迎 えています。これから我々は武藤教授のスピーカーに出会った時のような「 恐れ」を沢山感じることでしょう。ただ、この「恐れ」を乗り越えた先には「ワクワク」がある。今の日本の閉塞状態を打破するきっかけは、「恐れ」 を乗り越えてみることではないかと、帰りの横須賀線の中でぼんやりと思いました。
2011年は、日本から世界に向けて沢山の驚きとワクワクが発信される年にしたいですね。
それでは、良いお年をお迎えください。
北川