2019年1月9日

2019年 新年のご挨拶 [2019年1月9日配信バックナンバー]

2019年 新年のご挨拶

新年おめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い致します。

本年4月末での天皇退位が決まってから、メディアなどで「平成最後」という表現が頻繁に使われるようになりました。日本人は、このように時間の流れをいろいろと区切ってラベルを貼り、けじめにしたり、その時代を語ったりするのが好きですよね。「昭和の時代を振り返るとか」「平成の30年とは何だったのか」といったようなタイトルのテレビ番組や新聞の特集記事などが年末年始には溢れていました。

これは、日本人が時代の流れや歴史を考える時の特性として良いことでもあると思いますが、その一方で、世界を俯瞰すると、「昭和」とか「平成」とかという日本特有の時間の塊は存在せず、ただ連続した時間の流れが過去から現在そして未来へと連綿と続いているだけです。時間の流れに対する捉え方というのは我々の世界観や発想法にも影響を与えていると思います。

「昭和世代のオヤジ」とか「平成生まれの若者達」などという表現は、一見わかりやすいようですが、無意味なレッテルを貼って我々の解釈を惑わせたり、思考停止にしてしまう危険な表現でもあるような気がします。今年は、あらためて世の中の常識や慣習に流されず、自分の眼と耳と頭で判断することを心掛けたいと思います。

2019年が皆様にとりまして素晴らしい一年となりますことを祈念しております。

辻野晃一郎コラム
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2018年12月26日

台湾嘉儀市国立中正大学訪問 [2018年12月26日配信バックナンバー]

台湾嘉儀市国立中正大学訪問

先日、ご縁があって台湾嘉儀市にある国立中正大学にご招待いただき若い学生さん達と交流してきました。台湾のテレビ番組などで有名で「台湾の林修先生」と呼ばれる教育者であり起業家でもある王宇先生がすべてアレンジしてくださいました。中正大学の郝鳳鳴副校長先生と崔曉倩先生、沖縄を拠点にアジアで教育事業を展開している加納さんにも大変お世話になりました。

嘉儀市は台中と台南の中間位に位置する歴史ある地方都市です。台北の松山空港から入国しましたが、台北から台湾新幹線で1時間半程度のところですから距離的には東京からだと名古屋位の感覚です。中正大学は蒋介石にちなんで1989年に創立された総合大学で、広々としたキャンパスで伸び伸びと大学生活を楽しむ学生たちの姿は米国の大学のようでした。

昔ソニーでパソコンビジネスをやっていた頃には頻繁に訪れていた台湾ですが、経済学者のラム・チャランによるとこれからは北緯31度よりも南の地域の時代です。今や日本のシャープも台湾のホンハイ傘下の企業になりました。パソコンや半導体などで技術・産業立国に成功した台湾のエネルギーには凄いものがあります。人口は2300万人ですから日本の5~6分の1程度ですが、技術革新やグローバルなビジネスセンスの面では見習うべき点が多くあります。親日でも知られる台湾とはこれからもいい関係を維持していきたいものです。
さて、アレックス通信も今年はこちらが最終号となります。今年も皆様には大変にお世話になりました。社員一同心から感謝申し上げます。どうか良い新年をお迎えください。

辻野晃一郎コラム
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2018年11月21日

GAFAの脅威 [201811月21日配信バックナンバー]

GAFAの脅威

GAFAが今年の流行語大賞にノミネートされました。いうまでもなく、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を並べた造語です。

スコット・ギャロウェイ著「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)も売れているようです。著者は 「世界最高のビジネススクール教授50人」に選ばれたことのある連続起業家で、ブランド戦略やデジタルマーケティングの専門家でもあります。私も読みましたが、著者の偏見や好き嫌い、若干の私的な恨み節も含めて、GAFAそれぞれの「表の顔」と「裏の顔」をうまく描き分けていると思いました。

GAFAは、資金力、技術力、人材力といった面で他の追随を許さないグローバルプラットフォーマーとして、「データ資本主義」時代を象徴する圧倒的な存在です。半ば社会インフラ化した存在で、我々の日常生活はGAFAに大きく依存するようになりました。今やグーグル検索やアマゾンのサービス無しの生活は考えられません。

GAFAのサービスやプロダクツは実に便利ですが、一方で、利用者は使うたびに自分自身の好みや行動履歴などさまざまな情報を彼らに無償提供しています。その結果、本人が意識しているしていないは別として、多かれ少なかれ自分の思考や行動を彼らにコントロールされています。

中国でもアリババなどが集めたデータは中国政府によって国民をランキングしたり監視するデータとして使われています。 米国の国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)で働いていたエドワード・スノーデンも権力による監視社会の実態を暴露しています。

利便性はプライバシーとのトレードオフですから、我々が現在手にしているさまざまな利便性の裏には常にプライバシーの問題があることだけは忘れてはならないと思います。

辻野晃一郎コラム
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2018年10月17日

国宝犬山城 [2018年10月17日配信バックナンバー]

国宝犬山城

先日、仕事で名古屋を訪ねた際に、少し足を延ばして犬山城に行ってみました。室町時代の天文6年(1537)に築城され、現存するのは明治24年(1891)の濃尾大地震で半壊の後に修復された天守のみですが、日本最古の様式だそうで国宝に指定されています。悠々と水をたたえる木曽川沿い、当時の交易、政治、経済の要衝に建てられ、 戦国時代には信長、秀吉、家康がこの城を奪い合いました。歴史の荒波を生き残った天守最上階からの眺めはまさに絶景で、周辺には城下町の古い町並みや、多くの観光施設があります。悠久の歴史に思いを馳せながら、しばしの気分転換となりました。

辻野晃一郎コラム
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2018年9月12日

沖縄県知事選挙 [2018年9月12日配信バックナンバー]

沖縄県知事選挙

米軍基地問題で国と対立し8月に亡くなった沖縄の翁長雄志前知事は、その著書『戦う民意』(角川書店)の中で、「基地問題を解決しなければ、日本が世界に飛躍できない。沖縄の民意を尊重せずして日本の自立はない。沖縄のためになることは日本のためになり、さらには世界のためになる」と述べています。

さらに、「離島である沖縄は、海で四方が閉ざされているのではなく、海で諸国とつながっているという世界観を持っています。そして、沖縄戦という未曽有の体験を経て、平和に対する絶対的な願いを持ち続けています」とも述べています。

これらはまさに沖縄のアイデンティティを代弁したようなメッセージですが、今月30日の沖縄県知事選挙に注目したいと思います。

辻野晃一郎コラム
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2018年8月8日

酷暑の夏 [2018年8月8日配信バックナンバー]

酷暑の夏

今夏の記録的な猛暑は、連日のようにニュースや天気予報で取り上げられていますが、これは日本に限ったことではなく、ヨーロッパやアメリカなどでも大変な暑さになっているようです。

気候変動にはさまざまな要因があるのでしょうが、人口爆発や急激な経済成長に伴う環境汚染、廃熱なども温暖化の一因になっているのは間違いのないところでしょう。この状態が続くとすれば、巷で騒がれているように2020年の東京オリンピックも大変に過酷なものとなるのは間違いありません。それとも、不安定な気候変動が2020年には突然冷夏をもたらすような幸運もあり得るのでしょうか。

地球環境の変動は、猛暑だけでなく、地震や集中豪雨などの自然災害を大規模化する傾向をもたらしてもいます。先日、西日本一帯を襲った大雨は、短時間のうちに広域にわたって大勢の人々の命を奪ったり生活を破壊しました。あらゆる意味において、これからは「想定外はない」「他人事はない」という認識が必要なのだと痛感します。被災するかしないかは、まさに「たまたま」「紙一重」といった違いにすぎないのです。

今日平穏な一日を過ごせたなら、そのことへの深い感謝を忘れないようにしたいものです。


辻野晃一郎コラム
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2018年7月10日

サッカー夢のあと [2018年7月10日配信バックナンバー]


サッカー夢のあと

サッカーのワールドカップで、日本チームが予選リーグを突破して決勝トーナメントには進んだものの、初戦でベルギーに逆転負けで敗れ、今回もベスト8進出への夢は叶いませんでした。 もちろん、西野監督も選手達も持てる力のすべてを出し切って戦った姿は感動的で我々を大いに楽しませてくれたと共に勇気づけてもくれました。西野監督と選手の皆さんには心からお疲れ様でしたと申し上げたいと思います。

一方で、今回の軌跡を振り返って、次回以降のベスト8以上進出を目指すことを考えた時に、日本チームに何が足りなかったのか、ということを冷静に分析してみたいと思います。もちろん、すでに多くの専門家がさまざまな分析をしていますので、体力面や戦術面での分析はそれらにお任せして、ここでは「目標設定」という切り口から考えてみます。

予選リーグでのセネガル戦も、決勝トーナメントでのベルギー戦も、十分に勝てた試合だっただけに、本当に残念で悔しい結果でした。特にベルギー戦では、後半開始早々に原口選手と乾選手の鮮やかなゴールで2対0と2点を先制する願ってもない状況を作り出しました。にもかかわらず、その2点を守り切れなかったのはどうしてでしょうか?

西野監督は試合直後のインタビューで「何が足りないんでしょう?」と述べていましたが、私は「目標設定」の問題なのではないかと思います。直前に監督が急遽交代するなどのドタバタの中でベスト16に入ったのはまさに快挙ですが、日本チームのもともとの目標設定は、「予選リーグを突破してベスト16に入ること」だったと思います。その上で、「あわよくばベスト8へ」というのが日本チームの「悲願」だったということです。それに対して、FIFAランキング3位のベルギーチームの目標設定はあたりまえのように「優勝」でしょう。

ですから、日本チームはベルギー戦で自分たちが2点を先行することはまったく想定していなかったと思います。想定していなかった状況を自ら作り出し、ベスト8が見えた瞬間に、自分たちのいわゆる「コンフォートゾーン」から外れてしまったのです。何故ならベスト16に残ることがもともとの目標だったからです。

一方、ベルギーにとっても、日本に2点も先行されることは想定外だったでしょう。この瞬間にベルギーも自分たちのコンフォートゾーンを外れてしまいました。何故なら、決勝トーナメントを最後まで勝ち抜いて優勝することに目標設定しているからです。

心理学的に、人間はコンフォートゾーンを外れてしまうと、「こんなはずではない」とか「これはできすぎだ」となって不安定になり、無意識のうちに自分の設定したコンフォートゾーンに戻ろうとするエネルギーが働くそうです。それが、日本が2点を先行した直後から調子を崩してしまったのに対して、ベルギーが我に返ったかのごとく底力を発揮して立て続けに3点を奪った一番の理由だと思います。その後、ベルギーはブラジルも撃破してベスト4に進んでいます(7月7日現在)。

ちなみに、日本チームで「優勝」と言っていたのは本田選手だけです。皮肉にもその本田選手は、アディショナルタイム終了ぎりぎりの段階での不用意なコーナーキックによって、絵に描いたような瞬殺のカウンター攻撃のきっかけを相手に与えてしまいました。終了間際のわずか10秒弱のシーンは、両チームの差を示す象徴的なシーンでした。監督も選手もまた国民も、本気で「優勝」に目標設定をしているベルギーに対して、日本は、監督も選手もサッカー協会も国民も、本気で優勝を心から信じていた人など誰もいなかったと思います。夢が潰えた瞬間でした。

日本が次回以降でベスト8以上に進むためには、監督や選手は当然として、サポーター全員が本気で優勝を信じるレベルになることが第一歩だと思います。サッカーのように肉食的な闘争本能を剥き出しにして闘うスポーツに、「控え目」「遠慮」「謙虚」を美徳とする日本人は本来向いていないのかもしれませんが、Jリーグを創設するなどで30年近く掛けてよくここまで強くなったものです。

しかし、現在の壁を突破して本当のサッカー強豪国になるには、やはり「ワールドカップ優勝」に本気で目標を定めない限りは無理です。高いところに目標を設定し、そこに到達するまでは「負け」を許さず一切甘い顔はしない、というくらいにならないと、これ以上上位に進むことは厳しいのではないでしょうか。

辻野晃一郎コラム
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