2019年3月25日

桜を愛でる国の文化 [2019年3月26日配信バックナンバー]

桜を愛でる国の文化

春は一年の中でもっとも華やぐ季節です。桜の開花が冬の終わりと春の訪れを告げ、着慣れないスーツを身にまとった新社会人たちが街に溢れ、明るく新鮮なエネルギーが満ち溢れます。

ところで、毎年思うのですが、桜というのは実に不思議な植物です。一年のうちにたった一度だけごく限られた短い時間に限って華やかな花を咲かせ、その後はさっと散ってしまいます。

花を付けている間は、私たちを前向きで元気な気分に高揚させ、生命力を限りなく高めてくれるような気がします。一方で、花が散るときには人生のはかなさとも重ねあわせて、感傷的な気分をたっぷりと味わわせてもくれます。「散る桜 残る桜も 散る桜」という良寛和尚の名句がありますが、「生命の輝き」と「はかなさ」を、この一句の中で三度も「桜」を使うことによって余すところなく表現しているように感じます。

毎年、桜の開花を待ち焦がれ、開花とともにお祭り騒ぎをして、散る桜を見ながら人生のはかなさを思う――こんな植物は桜以外にはなかなか思いつきません。さらに付け加えると、桜は、少なくとも一年で三回、私たちを楽しませてくれます。花が散ったあとの新緑の美しさは格別ですし、秋の紅葉も見事です。

国策に沿った観光庁や旅行会社のプロモーション効果もあり、日本を訪れる外国人が急増していますが、日本の花見は海外でも広く知られるようになりました。花見を目的とした来日客も増えています。日本の文化は桜という植物なしには考えられませんが、海外の人たちにも、日本文化の奥行きを桜の素晴らしさと共に感じ取って欲しいものです。

辻野晃一郎コラム
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2019年2月26日

東日本大震災から8年 [2019年2月27日配信バックナンバー]

東日本大震災から8年

3月11日が来ると東日本を襲った大震災から丸8年が経過したことになります。ざっと振り返ってみると、まさに激動の8年間だったように感じます。震災からの復興では、この歳月で進んだ部分と進まない部分がありますが、福島の原発災害の後処理の進捗や放射能汚染の実態については、本当のことがよくわからない、というのが多くの人たちの感覚でしょう。

加えて、最近では厚労相の統計問題が深刻ですが、森友問題での財務省による公文書改竄あたりから、だんだんと自分の母国が信用できなくなってきました。森友・加計問題をはじめ、スーパーコンピュータの補助金問題や、リニア新幹線の汚職、裁量労働制を巡る不正データ問題や、省庁や自治体などでの障害者雇用の水増し問題など、ここ数年で起きた日本の中枢が絡むさまざまな事件について、結局真相は何も解明されないまま、あるいは国民に知らされないまま、どんどん世間から忘れ去られていきます。

真相を知る人たちがそれを言わずに隠す、責任を取る立場の人たちが責任を取らずに開き直る、真実を追求する立場の人たちがその責務を果たさない、といった光景が今や当たり前のようになっていますが、当たり前にしていて良いはずがありません。

3月11日を迎えるにあたり、あらためて8年という歳月の重さを認識しつつ、そんなことを思いました。

辻野晃一郎コラム
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2019年1月9日

2019年 新年のご挨拶 [2019年1月9日配信バックナンバー]

2019年 新年のご挨拶

新年おめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願い致します。

本年4月末での天皇退位が決まってから、メディアなどで「平成最後」という表現が頻繁に使われるようになりました。日本人は、このように時間の流れをいろいろと区切ってラベルを貼り、けじめにしたり、その時代を語ったりするのが好きですよね。「昭和の時代を振り返るとか」「平成の30年とは何だったのか」といったようなタイトルのテレビ番組や新聞の特集記事などが年末年始には溢れていました。

これは、日本人が時代の流れや歴史を考える時の特性として良いことでもあると思いますが、その一方で、世界を俯瞰すると、「昭和」とか「平成」とかという日本特有の時間の塊は存在せず、ただ連続した時間の流れが過去から現在そして未来へと連綿と続いているだけです。時間の流れに対する捉え方というのは我々の世界観や発想法にも影響を与えていると思います。

「昭和世代のオヤジ」とか「平成生まれの若者達」などという表現は、一見わかりやすいようですが、無意味なレッテルを貼って我々の解釈を惑わせたり、思考停止にしてしまう危険な表現でもあるような気がします。今年は、あらためて世の中の常識や慣習に流されず、自分の眼と耳と頭で判断することを心掛けたいと思います。

2019年が皆様にとりまして素晴らしい一年となりますことを祈念しております。

辻野晃一郎コラム
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2018年12月26日

台湾嘉儀市国立中正大学訪問 [2018年12月26日配信バックナンバー]

台湾嘉儀市国立中正大学訪問

先日、ご縁があって台湾嘉儀市にある国立中正大学にご招待いただき若い学生さん達と交流してきました。台湾のテレビ番組などで有名で「台湾の林修先生」と呼ばれる教育者であり起業家でもある王宇先生がすべてアレンジしてくださいました。中正大学の郝鳳鳴副校長先生と崔曉倩先生、沖縄を拠点にアジアで教育事業を展開している加納さんにも大変お世話になりました。

嘉儀市は台中と台南の中間位に位置する歴史ある地方都市です。台北の松山空港から入国しましたが、台北から台湾新幹線で1時間半程度のところですから距離的には東京からだと名古屋位の感覚です。中正大学は蒋介石にちなんで1989年に創立された総合大学で、広々としたキャンパスで伸び伸びと大学生活を楽しむ学生たちの姿は米国の大学のようでした。

昔ソニーでパソコンビジネスをやっていた頃には頻繁に訪れていた台湾ですが、経済学者のラム・チャランによるとこれからは北緯31度よりも南の地域の時代です。今や日本のシャープも台湾のホンハイ傘下の企業になりました。パソコンや半導体などで技術・産業立国に成功した台湾のエネルギーには凄いものがあります。人口は2300万人ですから日本の5~6分の1程度ですが、技術革新やグローバルなビジネスセンスの面では見習うべき点が多くあります。親日でも知られる台湾とはこれからもいい関係を維持していきたいものです。
さて、アレックス通信も今年はこちらが最終号となります。今年も皆様には大変にお世話になりました。社員一同心から感謝申し上げます。どうか良い新年をお迎えください。

辻野晃一郎コラム
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2018年11月21日

GAFAの脅威 [201811月21日配信バックナンバー]

GAFAの脅威

GAFAが今年の流行語大賞にノミネートされました。いうまでもなく、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字を並べた造語です。

スコット・ギャロウェイ著「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)も売れているようです。著者は 「世界最高のビジネススクール教授50人」に選ばれたことのある連続起業家で、ブランド戦略やデジタルマーケティングの専門家でもあります。私も読みましたが、著者の偏見や好き嫌い、若干の私的な恨み節も含めて、GAFAそれぞれの「表の顔」と「裏の顔」をうまく描き分けていると思いました。

GAFAは、資金力、技術力、人材力といった面で他の追随を許さないグローバルプラットフォーマーとして、「データ資本主義」時代を象徴する圧倒的な存在です。半ば社会インフラ化した存在で、我々の日常生活はGAFAに大きく依存するようになりました。今やグーグル検索やアマゾンのサービス無しの生活は考えられません。

GAFAのサービスやプロダクツは実に便利ですが、一方で、利用者は使うたびに自分自身の好みや行動履歴などさまざまな情報を彼らに無償提供しています。その結果、本人が意識しているしていないは別として、多かれ少なかれ自分の思考や行動を彼らにコントロールされています。

中国でもアリババなどが集めたデータは中国政府によって国民をランキングしたり監視するデータとして使われています。 米国の国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)で働いていたエドワード・スノーデンも権力による監視社会の実態を暴露しています。

利便性はプライバシーとのトレードオフですから、我々が現在手にしているさまざまな利便性の裏には常にプライバシーの問題があることだけは忘れてはならないと思います。

辻野晃一郎コラム
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2018年10月17日

国宝犬山城 [2018年10月17日配信バックナンバー]

国宝犬山城

先日、仕事で名古屋を訪ねた際に、少し足を延ばして犬山城に行ってみました。室町時代の天文6年(1537)に築城され、現存するのは明治24年(1891)の濃尾大地震で半壊の後に修復された天守のみですが、日本最古の様式だそうで国宝に指定されています。悠々と水をたたえる木曽川沿い、当時の交易、政治、経済の要衝に建てられ、 戦国時代には信長、秀吉、家康がこの城を奪い合いました。歴史の荒波を生き残った天守最上階からの眺めはまさに絶景で、周辺には城下町の古い町並みや、多くの観光施設があります。悠久の歴史に思いを馳せながら、しばしの気分転換となりました。

辻野晃一郎コラム
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2018年9月12日

沖縄県知事選挙 [2018年9月12日配信バックナンバー]

沖縄県知事選挙

米軍基地問題で国と対立し8月に亡くなった沖縄の翁長雄志前知事は、その著書『戦う民意』(角川書店)の中で、「基地問題を解決しなければ、日本が世界に飛躍できない。沖縄の民意を尊重せずして日本の自立はない。沖縄のためになることは日本のためになり、さらには世界のためになる」と述べています。

さらに、「離島である沖縄は、海で四方が閉ざされているのではなく、海で諸国とつながっているという世界観を持っています。そして、沖縄戦という未曽有の体験を経て、平和に対する絶対的な願いを持ち続けています」とも述べています。

これらはまさに沖縄のアイデンティティを代弁したようなメッセージですが、今月30日の沖縄県知事選挙に注目したいと思います。

辻野晃一郎コラム
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